こんにちは、Vcareerのとある獣医学生です。
4年になり、ちょこちょことブース形式の就職説明会に行くようになりました。
私が就職説明会で院長さんによくする質問があります。
それが、、、
「もし、先生の病院に100の新卒獣医師が来た場合、何を基準に採用しますか?」
です。
そういえば先生たちがどんな人材を求めているのかよく知らないなあ。と考え思いついた質問です。
そこで、調査をしてみました。新卒獣医師として必要なスキルは何か。
では早速いってみよう!!!
調査1 動物病院の考え
前回の「研究室の選び方」にご協力いただいた28件の動物病院さんに、答えてもらったアンケートです。
以下のような質問をしました。
Q.貴院が新卒獣医師を採用するにあたって、重要視していることを、以下の選択肢から3つお選びください。
・学業の成績
・所属していた研究室
・採血などの技術力
・コミュニケーション能力
・素直さ
・英語力
・体力、忍耐力
結果は以下の通りになりました。
この中の7つだと、コミュニケーション能力、素直さ、体力と忍耐力
が最も必要だということがわかりました!コミュニケーション能力については100%です!
ちなみに、「所属していた研究室」と答えた動物病院さんは、『研究室選びその3』のアンケートで、基礎系の研究室を選択しています。
『研究室選びその3』はこちら
調査2 学生の考え
これだけでは終わりません。同様の質問を、学生にも答えてもらいました。
以下のような質問をしました。
動物病院が新卒を採用するにあたって、重要視していると思うことを、以下の選択肢から3つお選びください。
・学業の成績
・所属していた研究室
・採血などの技術力
・コミュニケーション能力
・素直さ
・英語力
・体力、忍耐力
結果は以下の通りになりました。
一番下の1票は自由記述欄で「何をどう頑張ったか。問題に対して自分がどう対処したかどうか。」という回答をしています。
考察
今回は、「動物病院と学生の考えのギャップを見つける」のがテーマだったのですが、予想よりもギャップは生まれていませんでした。
しかし、学生の4人に1人は新卒獣医師に必要でないとされた(動物病院側で0票)技術力が重要だと答え、5人に1人は学業の成績が重要だと考えていたようです。
コミュニケーション能力
これほどコミュニケーション能力が大事である、と病院側も学生側も分かっているのに、大学のカリキュラムにコミュ力をトレーニングする科目はありません。
実習がその一端を担っているのでしょうが、通常メンバーは固定されています。
もし文部科学省の方が読んでいたら、優秀な獣医師の輩出のため、1年の前期だけでも良いので、「獣医コミュニケーション学」なるものをコアカリキュラムに入れてほしいです(笑)
極端な話、成績優良賞を取るような学生よりも、バイト、インカレ、恋愛に明け暮れ、単位ギリギリで通過し、たくさんの人と話してきた学生の方が、能力が高い可能性があります、少なくとも小動物業界では。
コミュニケーション能力にもいくつかあると考えられます。
1つは初対面の人とも心のカベを作らずに、愛想よく会話ができる能力(コミュ力1とします)。
もう一つは、親しくなった人とさらに親密になる能力(コミュ力2とします)。
ひとくくりにコミュ力といっても、どちらも均等に高い人はあまり多くないようです。例えば、私を例にすると前者が高く後者は低いように感じられます。
ここで伝えておきたいのが、コミュ力1がコミュ力2の進化系ではない、別の能力である、という私の持論です。
人間関係が浅く広い人、深く狭い人、どちらが優れていると優劣がつけられないからです。
例えば、今日知りあった帰り道が同じ人と3駅楽しく話すのと、長年の友人と居酒屋で2人で夜まで語り明かすのは、別のコミュ力だと考えております。
今日知り合った人と話すときは、天候、ニュース、自身のプロフィールなど、表面的な話を相手のテンポに合わせて話すことが重要です。
ですが、長年の友人と話すときは、健康、恋愛、夢など、その人の核心をついた内容のことが多いでしょう。
しかし、世間一般ではコミュ力1がないとコミュ力2を披露する場ないことから、顔が広い人がコミュ力が高いとされてしまいます。
素直さについて
注目していただきたいのは「素直さ」です。
動物病院側で重要視されているにも関わらずそれに比べると学生側ではスコアが低いです。
これは、素直さという言葉の範囲の広さにあります。
「素直さ」というと一般に2つの性質があります。
1:ひねくれずに、指示に素直に従うという従順さ、穏やかな態度。
2:ありのままの態度で、噓をつかないという正直、誠実さ
2の意味でとらえると、ほとんどすべての学生が選択するはずですが、1の意味でとらえると選択しない可能性があります。
2の人物のように、なんでもかんでも従順に従っていたら、上司が間違えた場合ミスに気づけません。
病院側としては2の意味でとらえたとしても、「新卒は何が何だか分からないのだから、まずはしっかり仕事を覚えてほしい。」という思いがあるでしょう。
もしかしたら、この考え方のギャップに獣医師の離職率の高さの原因があるのかもしれません。
何件か病院の見学に行くと、少しずつその病院ごとに検査の内容や手技が異なっています。本当に細かいことなので、飼い主さんは気づかないと思います。
そこで「大学病院で習ったやり方じゃない!」とか「教科書にはこう書いてあった!」と主張されてたら、先生たちも疲れてしまうかも。
医療的に(ここであえて「医学的に」という表現を避けました)間違っていなければ「ここではこのやり方なんだな」と受け入れる「素直さ」も必要でしょうね。
まとめ
大事なのは、
コミュニケーション能力、素直さ、体力と忍耐力
学生もそれをおおよそ分かっている けれど、
解釈の違いがある、トレーニングする場所がない
いかがでしょうか。この記事を通して、動物病院さんは学生が何を考えているか、学生は動物病院の院長さんや採用担当者さんが何を必要としているのか、知るきっかけになれば幸いです。
皆でコミュニケーション能力を鍛えよう!
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