こんにちは、Vcareer編集部です。
「研究室の選び方その3」として、就活への影響力について調査しました!
研究室を選ぶにあたって、あなたは一回は考えたことがあると思います。
「研究室でやったことって、将来活きるのだろうか?」
「基礎系出身だと小動物臨床で不利なのかな?」
その疑問をエビデンスを基づいて解説して行こうと思います!
調査してみた
調査1 〜将来の進路は?〜
前回と同様、31人の学生にアンケートを取り、次の質問をしました。
今現在所属している研究室をもとに、将来の進路を決めようと考えていますか。(基礎系なら研究職、臨床系なら臨床獣医師など)
結果は以下の通りになりました。(無回答が1人)
つまり、全体の60%以上の人が、研究室とは関係のない進路に進むことを視野に入れています!(33.3+30)
公務員になるから応用系、臨床に進むから臨床系という人は、意外にも少数派なのです。
また、今回のテーマとは関係ないのですが、研究室に入り始めると、90%の人が将来どうするかをある程度決めているようです。
調査2 〜どの研究室出身を採用したい?〜
28件の動物病院にアンケートを実施しました。
動物病院さんには、このようなアンケートに答えてもらいました。
それぞれ以下の研究室に所属していた新卒獣医師が採用面接に来た場合、どの研究室出身の獣医師を採用しますか。
選択肢の中からお選びください。
1,応用系 2,基礎系 3,臨床系 4,研究室では比較できない
回答の結果がこちら!!
約9割の動物病院が「研究室では比較できない」と答えています。
しかし、このアンケート企画で伝えたいのはそれだけではありません!
今回は回答者が少ないので差がつきませんでしたが、「新卒の就活において、臨床系研究室よりむしろ基礎系研究室の方が有利」である可能性があります。
先生方が書いてくれた、自由記述欄を抜粋します。
- 基礎系であっても数ヶ月で臨床的な技術は身につくし、むしろ基礎がしっかりしてることがある。
- 物事が論理的に考えられ、実験などを組み論文にできる能力が重要だから。
(この採用担当者さん、先生は「基礎系を採用」と回答しています。)
- 少なくとも臨床の現場において研究室での業績は考慮の対象にならないと考える。
臨床で必要なスキルは研究室では学べないし、学ぶ必要もない。
研究室では科学的な思考とそれを文章化(卒論)にしていくスキルを身につけることを優先してよいと思う。
少なくとも今の日本の獣医学の教育現場の現状を考えればこれが限界と思う。
- 臨床系の研究室にいた学生さんならそのまま即戦力になるかと言うとそれほどでもない。
研究室の先生がやっていたのを見ていただけなのに自分も同じことができるかのように誤解してしまっている学生さんもいる。
かえって基礎系の研究室にいた学生さんは臨床を知らないと素直に吸収してくれることもある。所属研究室は臨床系の就職に関して、私は評価ポイントにしません。
大学で勉強を続けてこられた時点で頭の良し悪しは最低限クリア。あとはこれからも勉強し続ける努力のできる人物重視。
臨床系を採用と回答した、採用担当者さん、院長さんはコメントをしていませんでした。
その他臨床系研究室、応用系研究室に関係するコメントはなく、個人の能力が重要、研究室の比較は意味がない、人間性を重視する
といった回答されていました。
採用の主要因にはしないものの、基礎系の新卒の方が評価が高いことがお分かりいただけたでしょうか。
まとめ
今回の調査で知ってほしかったのは、
研究職につくから基礎系、公務員になるから応用系、臨床に進むから臨床系と考える人は少数派
研究室選びは、少なくとも小動物臨床に進む場合において、自身のキャリアに影響がない
です。
今回は小動物臨床に絞って調査をしましたが、研究職や企業について調べたら、別の結果になったと思います。
最後に
いかがだったでしょうか。研究室の選び方1~3をまとめると、
スケジュールが読める研究室に入れ、第一志望を逃すな、将来のこと、研究内容なんか考えなくてよいから同輩を見て決めろ。
必要な情報が手に入らず、分からなかったら解剖、病理、生理、薬理
と、なります。
私の考え(選び方その1)では「同輩は考えなくてよい」としていましたが、「多少は必要である」と、前回のアンケートが教えてくれましたね。
おそらく、小動物の業界のことをよく知っている人だったら、調査1はともかく、調査2は当たり前の結果に思えたかもしれません。
では、なぜこんなことをしたのか、
「皆がうわさや常識というレベルで知っている通説を、根拠に基づいて証明したかったから。」です。
獣医学生の間は正しいかは別として噂がすぐ広まります。
変な話、「この問題が明日の期末で出る」から、「誰々君と誰々ちゃんが一緒にご飯を食べに行った。」レベルの話もすぐに広まります(笑)
そんな確度の低い噂に皆さんの選択を委ねたくなかった!
統計はただの数字に過ぎないので、絶対に噓をつきません。
間違いが起こるとしたら、調査自体に不備があった場合、解釈する人間が間違えた場合です。
ですので、このアンケートは選択肢を列挙する順番や質問に使う言葉まで気を使って作りました。
忙しい先生方、採用担当者様がこんなにたくさんのコメントを残してくれていることに驚きました!
自身の病院のみでなく、獣医学生、獣医業界全体のことを考えてくれている証拠であり、とても感動しました!!泣
この記事を読んだ人が、最高、ではなくても最善の選択ができることを願っています。
研究室選びについての過去記事はこちら
https://vcareer.net/2018/08/25/select-labo-01/
https://vcareer.net/2018/09/11/select-labo-02/
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