獣医師の野生動物に関する仕事まとめ

今回は、とある野生動物に関わりの深い獣医師の先生に、
『獣医師としての野生動物に関する仕事』を教えて頂きました!

「野生動物」って最近では獣医学科の授業でもやりますが、野生動物関連のお仕事って具体的になにがあるのか知ってる方って、多くはないのではないでしょうか?

野生動物関連のお仕事を大きく分けると、4つに分類されます。

1 .動物園・水族館
2. 国や地方公共団体
3. 自然環境調査関連の企業や環境保全活動NPO
4. 傷病鳥獣救護に携わる動物病院

これらについて、詳しくまとめて頂きました!

獣医師の野生動物に関する仕事まとめてみた

獣医師の野生動物に関する仕事:はじめに

獣医師を志す皆さんの中には「将来、野生動物と関わる仕事をしたい!」と考えたことがある人もいることでしょう。

ところが、日本の獣医史において野生動物の保護や管理について関心が高まったのは、比較的最近になってからです。

今でも野生動物は獣医師法の対象動物ではありません。

それでもなお、社会的な需要の高まりとともに、野生動物関連分野で活躍される獣医師がいます。

大きく4つに分けて以下に概説していきます。

 

獣医師の野生動物に関する仕事:動物園・水族館

獣医師の野生動物に関する仕事のうち、「動物園・水族館の獣医師として」について

温泉に入るサルを激写

日本国内には、公益社団法人日本動物園水族館協会(Japanese Association of Zoos and Aquariums:JAZA)という組織があり、平成30年12月現在で動物園と水族館を併せて151施設が加盟しています。

動物園は古くは主にレクリエーション施設として、世界中の珍しい動物を収集・展示し大衆に見せることが目的とされてきました。

しかし、現在は種の保存、教育・環境教育、調査・研究、レクリエーションと4つの役割を担い、希少種の保全や環境教育の場としても重要な位置づけにあります。

動物園や水族館では、国内外の野生動物が飼育展示されています。動物園等で飼育展示下の野生動物は、本来の野生状態にあるものと区別して「動物園動物」と呼ばれることもあります。

動物園等ではたらく獣医師は、これら動物園動物の健康管理、新規導入動物の検疫や死亡個体の病理解剖など幅広く、園館によっては希少種の保護増殖や普及啓発に携わる場合もあります。

動物園・水族館における獣医職の配置は多くても数名程度に留まり、毎年のように増員されることもないため、採用試験の倍率はきわめて高くなります

採用試験では、獣医学のみならず分類学や生態学などに関する知識が求められることもあり、広い視野で勉学に励む必要があります。

また、動物園等の業務について理解を深める上で、学生の頃に実習参加し現場経験を積んでおくことも大切です。

 

獣医師の野生動物に関する仕事:国や地方公共団体

獣医師の野生動物に関する仕事のうち、「国や地方公共団体の獣医師として」について

自動撮影カメラ調査の時の写真

農林水産省および厚生労働省では「獣医系技術職員」として、獣医職の配置があります。

いずれも主な業務では野生動物と直接的な関わりがありません。

野生動物の保護管理で中心的な役割を担っているのは、環境省になります。

環境省では、総合職と一般職の「自然系職員(レンジャー、自然保護官とも呼ばれる)」が国立公園をはじめとする保護地域の管理、希少種の保護、野生鳥獣の管理、外来種対策など多岐にわたる役目を果たしています。

ただし、環境省の場合は農林水産省や厚生労働省のような獣医職の区分がありません。このため、獣医学生も総合職や一般職の採用試験を受けることになります。

しかしながら、希少種の保護増殖事業や野生動物の感染症制御においては獣医学的知見や技術が必要とされており、まだ少ないながらも実際にそのような分野で活躍されている方がいます。

 いくつかの地方公共団体では、環境部局に獣医職として獣医師が配置されている場合もあり、このような自治体では傷病鳥獣の保護収容や死亡野鳥の鳥インフルエンザ検査などを通じて獣医職として野生動物に関わることができます

また、先述した動物園の中には公立の施設があり、動物園獣医師として配属されている方もいます。

 国・地方公共団体ともに、専門職員として採用されるような特殊な場合を除き、基本的には複数の部署を異動し、多様な業務を経験することになります。

興味を持っている人は、情報収集をなるべく早い時期から始めてください。各機関が採用説明会を開催していたり、インターンシップ制度を設けていたり、見学や実習が可能なところもあります。

また、卒業生の先輩がいたら、試験対策なども含めて経験談を聞いておくと良いですね。

 

獣医師の野生動物に関する仕事:自然環境調査関連の企業・環境保全活動NPO

獣医師の野生動物に関する仕事のうち、「自然環境調査関連の企業・環境保全活動NPOの獣医師として」について

小笠原の動物医療派遣の時の写真

 環境保全の観点から、大規模な工事など環境に著しい影響を与える恐れのある事業を実施する前に、当該事業者は調査、予測及び評価を行い、必要に応じて事業計画を改善させることが求められます。

このうち野生生物を対象とした調査では、生物の識別分類や行動生態に関する専門知識、さらには高度な調査技術や分析手法が必要となります。

その中でも、たとえばシカ、サル、クマなどの生体捕獲では、麻酔管理など獣医師としての役割が果たされる機会があります。

また、近年は全国各地で野生鳥獣による農作物等の被害問題が激化しており、このような場面でも専門性の高い人材が欠かせない状況となっています。

一方で、希少種の保護や生息環境の保全等を目的として、獣医師が救護動物の臨床や普及啓発に携わるNPO法人もあります。

 このような業種を志望するのなら、自然環境調査に関する知識や技術、環境保全にかかる考え方など、いずれも獣医学のカリキュラムで重点的に扱っていない分野を勉強する必要があります。

また、調査内容によっては早朝や夜間といった時間帯に行われるものや、一定の登山スキルが必要とされるものもあります。アルバイトや実習生として参加できる調査もあるので、そのような機会を経て現場を知ることや人脈をつくることも大切です。

獣医師の野生動物に関する仕事:傷病鳥獣救護に携わる動物病院

獣医師の野生動物に関する仕事のうち、「傷病鳥獣救護に携わる動物病院の獣医師として」について

冒頭で述べたように、野生動物は獣医療の対象外とされてきましたが、一方で傷ついた野生動物を救うことは人道的行為として古くから行われています。

近年、人的災害発生時の野生動物救護、希少種の保護や感染症の制御といった公益的な役割に社会の関心が高まりました。これを受けて、救護のあり方を見直すべく、より科学的な位置づけでの取り組みについて議論されています。

自治体の対応についても予算措置を含めて様々ですが、傷病鳥獣を受け入れ治療対象としている動物病院は各地に存在します。

 傷病により救護される動物の多くは野鳥です。これらは建物への衝突やネコ等による受傷のほか、巣立ち期に誤って保護されてしまうケースがあります。

地域によっては、タヌキをはじめ哺乳類が交通事故などに遭い運び込まれることもあるようです。

傷病鳥獣救護の活動を通じて、原因を追究し対策につながるよう普及啓発を図ることも重要な役割です。

なお、ほとんどの動物病院では、通常は一般の飼育動物診療を行っているので、野生動物のみを担当することは難しいでしょう。

傷病鳥獣の受入体制や治療方針については、それぞれの動物病院で異なるので、見学や実習を通じて事前に色々と調べておくと良いです。

 

最後に

野生動物関連の仕事に就きたいのであれば、どんな進路であれ、横のつながりや縦のつながりが大切です。

学生であれば、学年など気にせずに積極的に実習やバイト、知り合いと情報共有をしてみたほうが良いかもしれませんね。

(もちろん、自分1人での勉強も必須ですが…)

以上で、まとめは終わりです。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました!

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