「愛玩動物看護師は動物の看護師だから、あまり人と関わらないんでしょ!」
いえ、全くそんなことはございません!
寧ろ人と関わることの方が多いお仕事です。
なので、愛玩動物看護師という仕事をよく知らずに就いてしまうと、あとが大変です。(お互いに…)
愛玩動物看護師は飼い主さんとの対人関係なしにこの仕事は成り立たない
一般的な動物病院の場合、愛玩動物看護師が関わる人の中で1番接する時間が長い人はスタッフ、次いで、飼い主さん。
それ故に、私たちは「動物の看護師」ではありますが「飼い主さんにとっての愛玩動物看護師」でもあります。
言葉を話せない動物に代わり、飼い主さんに問診を行い、治療の選択をして頂いたり、投薬の方法、フードの与え方なども飼い主さんへご説明し、治療は飼い主さんの協力のもと行います。
もちろん、お支払いをしてくださるのも飼い主さん。
ですので、それら全ての対話を飼い主さんと行う為、飼い主さんとの関わり合いなしにこの仕事は成り立ちません。
愛玩動物看護師ってどんな存在?
では、飼い主さんにとって愛玩動物看護師はどんな存在なのでしょうか。
入院した過去の経験
私は自分自身が入院したり、家族に付き添って病院に泊り込む事がありました。
そんな時、心の支えとなったのは看護師さんの存在。
看護師さんが見回りに来るたびに、労ってくれたり、励ましてくれたり、孤独に感じていた気持ちを救ってくれたのは、看護師さんでした。
看護師さんの存在がなければ、私はきっとメンタルもぼろぼろだっただろうと思います。
担当医と同じくらい、私にとって必要な、有り難い存在でした。
愛玩動物看護師としての意識改革
その経験から、私はケージの中で入院している動物たちの心のケア、そして不安であろう飼い主さんの心のケア、といった、健康面だけでなく精神面にも目を向けることの意味や大切さを理解する事が出来ました。
それ以来、私は仕事中も飼い主さんの支えになれる場所を見つけるため、看護師としての視点の幅を広げられるよう意識改革を努めて来ました。
仕事中の気づき
入社してしばらく経ったある日、仕事中に「気づいた事」があります。それは、飼い主さんが動物病院に来てから帰宅された後も、不安を抱え続けてやいないか、という事。
気づきは診察室の中で
それに気づいたのは、ある時獣医師と共に診察室に入った時のことでした。
保定をしながら動物の状態を五感を使ってチェックしつつ、耳に入って来るのは獣医師と飼い主さんの会話。
その最中、ふと飼い主さんに目を向けると、なんだか不安そうな顔。そして、獣医師は飼い主さんに話しかけているのに、飼い主さんが答える時の目線はなぜか私の方向。
私は気になりながらもその場を後にし、お会計の時間に。
お会計の後、他に心配なことはないかと念の為尋ねたところ、飼い主さんの口から様々な質問が。
私は共感しながら、質問に一つ一つ答えると、安心してくれたようで、不安そうな顔に笑顔が見られました。
診察の雰囲気作り
一体、これらのシーンにはどんな意味があるのか?
まずは飼い主さんにとって、診察室という場は、診察に対する緊張感に加え、1対1の状況は、位置的に面と向かい合っている事もあり、より緊張感がより高まってしまうもの。
その為、間に愛玩動物看護師が入る事で視線を獣医師ではなく愛玩動物看護師に向ける事ができ、それにより自然と飼い主さんの緊張感も和らいでくるのです。愛玩動物看護師の存在が、診察の雰囲気作りに貢献しています。
動物病院と飼い主さんの信頼関係の構築
更に、獣医師的には言葉を選ぶなど工夫もしたり、威圧感は出していないつもりでも、飼い主さんにとっては話しにくく感じてしまうことも。質問が出来なかったり、遠慮してしまう飼い主さんも多くいます。
そして、獣医師の立場上、動物の為にはどんな状態であれ現実を伝えなければならないもの。
しかし、全ての飼い主さんがそこで納得や満足してくれるとは限りません。
緊張感から説明が頭に入っていかない飼い主さんや、説明が難しかったり早口だと飼い主さんにとって不安が残ったまま診察が終了してしまうこともよくあります。
愛玩動物看護師が、飼い主さんの表情や、目線、会話の内容などから違和感を察知した時には、待合室や受け付けで声かけをしてあげる事で、診察室では聞けなかった想いや不安を、聴いてあげることが出来るかもしれません。
愛玩動物看護師の存在は、動物病院と飼い主さんの信頼関係の構築にも繋がっています。
そして、飼い主さんに喜んで頂いたり、安心して頂くことが、愛玩動物看護師にとってやりがいの一つになることもあるはずです。
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