昔の飼い犬事情は外飼いが中心でしたが、近年は核家族化に伴って室内飼いされる犬がほとんどになってきています。
しかし最近は犬の社会化がクローズアップされ、犬と暮らす上での「しつけ」が重要な要素だと言えるでしょう。
「しつけ」のプロであるドッグトレーナーの需要や現状を解説しつつ、その将来性についても展望していきたいと思います。
ドッグトレーナーの需要や現状とは?
まずドッグトレーナーという職業が現在置かれている状況や需要についてですが、トレーナーとして就業している方は決して多くはありません。
逆を言えば、ペット業界がまだまだ伸びしろのある業種だということを表しています。
高まりを見せつつある需要
日本において犬の飼育頭数は減少傾向にありましたが、ここ数年は横ばいとなっています。国民の人口減少に起因するかと思いますが、家族構成が核家族化していることも要因の一つでしょう。
いっぽうペット事情を見ると、外飼いの犬がめっきりと減り、室内飼いの犬が大部分となっていることに注目です。
これは犬に対して番犬の役割(外飼い)ではなく、愛玩犬としての役割(室内飼い)を求めているということであり、いわゆる「家族の一員」として暮らしているということなのです。
特に最近はペット可のマンションなども増えており、鳴き声や咬傷といったご近所トラブルを回避するためにも、犬のしつけや社会化は切実な問題となりつつあります。
そういった意味で、正しい知識や豊富な経験を持つドッグトレーナーの需要は高まりつつあると言えるでしょう。
ドッグトレーナーの現状とは?
たしかに需要は高まってきているものの、ドッグトレーナーの収入・待遇は決して恵まれたものではありません。
ペット販売や関連グッズの拡販・ペットメディアの拡充など、ペット業界は拡大しつつありますが、犬のしつけに関する業態はまだまだ成長過程にあるからです。
そのためドッグトレーナーの求人もさほど多くはなく、一部の方を除いては十分な待遇が得られているとは言い難いのです。
とはいえ最近では「犬の幼稚園」や「預かり保育」といった形態で、しつけ教室は拡充しつつあります。
需要が高まって将来性のある職業となるか?
欧米に比べれば、まだまだ日本においてペットの置かれている立場は高くはありません。行政や法制の整備等とともに、国民間での意識づけが重要だと言えるでしょう。
日本の飼育環境の変化に伴って法制が改正
「犬のしつけ」に関する社会的認知度がまだまだ低いのは、法制に改正の余地があるからです。「動物の愛護及び管理に関する法律」は飼育環境の変化に伴って年を追うごとに改正が加えられていますが、動物取扱業だけでなく飼い主の飼育責任という点についても、さらに明文化が必要となります。
また民法では犬はモノ扱いとなっていますが、ペットの社会的地位向上のためにも抜本的な法改正が必要となるでしょう。
犬たちの存在価値が高まり、飼育責任が広く認知されるようになれば、「犬のしつけ」は社会的な常識となるでしょうし、ドッグトレーナーに対する需要が高まってくるのは必然なのです。
人とともに過ごす環境の広まり
家庭における飼育環境の変化とともに、人と過ごす環境が徐々に広がりつつあることも、ドッグトレーナーには追い風となります。
ペットと同伴できる飲食店、一般店舗、公共施設や公共交通機関などが徐々に増えてきており、そういった場において「犬のしつけ」が求められているからです。
わからないことを教えてくれるのがプロのドッグトレーナー
犬には個性があり、おとなしい犬もいればヤンチャな犬もいます。「犬のしつけ」に関してネットで情報を得ようとしても、それは画一的な情報に過ぎず、あくまでマニュアルでしかありません。
その点、経験豊富なドッグトレーナーであれば、個々の犬ごとにケースバイケースで対処できますし、飼い主さんのわからないことを教えてくれるパーソナルなアドバイザーとなるわけです。
将来的にドッグトレーナーには、そんな役割も期待されているのではないでしょうか。