「女性獣医師が働きやすい環境」=「全ての獣医師が働きやすい環境」は本当?

この記事はこんな人向け!
・獣医師に興味がある人
・女性獣医師としての働き方を知りたい人
・女性らしい働き方を考えている人

女性獣医師に関わらず女性は出産育児を経験すると一度離職・休職が必要になります。

働きやすい環境とは一度離職・休職した女性が復職をできる環境であるのかが重要です。

女性獣医師の場合、復職をしやすい現場であるかと言われると復職しづらい環境に置かれていると思います。

今回、女性獣医師はなぜ復職がしづらいのか、復職しやすくするための新たな取り組みなどについてお話ししたいと思います。

女性獣医師の働き場所

女性獣医師は企業や個人の動物病院、動物園、水族館、公営競馬、国家公務員、地方公務員、家畜診療所、製薬会社などさまざまな場所で働く機会を与えられています。

昨今の獣医師の勤務先の割合は、

  • 小動物診療獣医師:40%
  • 公務員が24%
  • 産業動物診療が11%
  • その他14%

という割合で働いています。(農林水産省調べ平成30年12月)

その中で近年女性獣医師の割合は増加しており、現在20~40代では半数近くが女性獣医師になっています。

女性獣医師がなぜ復職しづらいのか。

女性獣医師が半数近く働くようになった嬉しい状況の反面、悲しい現状もあります。農林水産省の調べでは獣医師業をしていない女性の割合は8%で、これは男性の1%に比べるとかなりの差があります。

その要因の多くは「出産」や「育児」による離職、様々な理由により再就職が進まないとされています。

一度、出産・育児を通して離職をすることで、獣医師としての情報や技術不足などに対して、不安を感じる方もいます。こういった要素も再就職しない理由の一つにあげる者も少なくありません。

特に街の動物病院といった、小動物診療分野では、雇用者側の考え方として「わかっているが実施できない」というイメージが根深く残っています。

育休から職場へ復帰する女性獣医師に対し、働きやすい環境に変わるべきという意見に対して「理解ができるが実際には不可能(無理)」という現場の声も多いようです。

女性獣医師が職場復帰しやすい環境への新たな取り組み

女性獣医師の活躍促進のための理解を深める

雇用者向けおよび学生向けセミナーの開催をすることにより、女性獣医師の活躍推進の意義、労働条件の支援策の整備とその適切な利用の必要性等について、獣医師としての社会的使命、役割と共にしっかりと共有することが重要です。

重要なのはこのセミナーを社会人のみにするのではなく、今後を担う学生にも発信することです。学生時代から、出産・育児を経験しても獣医師として働き続けることが社会のために必要であることを知ることが重要です。

仕事が継続できる環境の整備

働く側との希望と雇用者側の希望をマッチングさせるきめ細かい仕組みづくりが必要です。

出産育児休暇等の制度を、職場への影響を気にせずに利用できるようにするためには「自分が職場から離れる休暇中は、代わりの獣医師が対応してくれることが当たり前」というレベルにすることが不可欠です。

また、様々な情報提供やいつでも相談できる体制も必要です。育児と仕事を両立できているロールモデルや、いつでも気軽に相談できる相談相手がいるかどうかが大切であることから、少しでもロールモデルを充実させること、そして、いつでも相談できる環境を強化する事に対して、検討が必要です。

一度離れた後でも復帰しやすい職場環境を作る

現場復帰をめざす獣医師等をターゲットとして、職場への復帰や再就職に必要な情報の習得、獣医療技術の向上を目的とした、

「女性獣医師等就業支援研修」(農林水産省補助事業)を公衆衛生や家畜診療に関係する施設、例えば家畜保健所、農業共済などの協力により、理想の環境へと検討・改善が実施されています。

その他にも仕事と子育ても両立をしている・してきた方からのアドバイス制度も必要になってくると思われます。

まとめ

公衆衛生分野にたずさわる公務員や畜産分野にたずさわる産業動物診療事業と比較して、街の動物病院といった小動物診療の女性獣医師に対する出産・育児に対する理解は低い現状です。

女性獣医師の働き方をレアなケースとして特別扱いするのではなく、むしろ女性獣医師としての働き方を1つの基準にすることであらゆる分野の獣医師たち、みなさんが働きやすくなる未来になればと願っています。