野生動物調査員の仕事内容とは?②

この記事はこんな人向け!
・野生動物調査員に興味がある人
・野生動物調査員の仕事内容について知りたい人
・自然や動物が好きな人

日本は先進国の中でフィンランドに次いで森林面積の高い国です。

その豊かな自然と、そこに生息している野生動物の環境を守るため野生動物調査員がいます。

野生動物調査員の具体的な仕事内容や、どのように就職するかなどを詳しくみていきましょう。

全6回にわたってお送りいたします。今回はなぜ環境アセスメントが必要なのか紹介します。

なぜ環境アセスメントは必要?

森には、さまざまな生物が暮らしています。

野生動物から昆虫、目に見えない小さな微生物まで多種多様ですが、それぞれがバラバラに存在しているわけではなく、全てお互いに関係しあって生きています。

これを「生態系」といい、生態系にさまざまな生物がいることを「生物多様性」といいます。

生態系の中には食物連鎖があり、生物の数や種類はバランスを保つようにできています。このバランスは非常に複雑で、ある生物の存在がどのようにその生態系に関わっているのかまだわかっていないことも多く、むやみに環境を改変することは危険な行為です。

しかし開発によって自然環境が破壊されると、

自然環境が変わり、住処を失う野生動物が出てくる

その野生動物を餌にしていた生物がいなくなる

天敵であった生物に食べられていた生物が異常繁殖する

生態系が壊される

農作物に被害を与える生物が急増したり、外来種動物の増加により在来種が減少したり、開発により自然が減少する

といった問題が出てきます。

例として、近年問題となっている日本のシカの異常繁殖を挙げてみましょう。

ニホンジカと呼ばれる古くから日本に生息していたシカが、ここ20〜30年で爆発的に急増しています。

繁殖率の高さや狩猟者の減少などさまざまな要因がありますが、シカの天敵であったニホンオオカミの絶滅や、森林伐採により草地が増加したことでシカの好ましい環境となったことも大きな要因の一つです。

爆発的に増えたシカは、自然界の食物を餌として大量に消費し、鹿が草を食べ尽くして地表が剥き出しになったことにより地中に水が染み込みにくくなり、土壌流出を引き起こす場合があります。

大量のシカによって森林の荒廃が進むことで災害を引き起こすケースが出ているのです。

調査なしに開発を進めると、人間の活動により生態系や生物多様性が壊される可能性があり、人々の生活を豊かにするためにした開発が、結果として私たちの生活に悪影響を及ぼすことになりかねません。

野生動物調査員は、起こりうる問題を想定し、正確な調査をする必要があるのです。

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