・酪農家と畜産農家の違いについて知りたい人
・動物と関わる仕事を知りたい人
畜産と酪農は、よく似ているようで違いがあります。
私たちの暮らしになくてはならない生乳や食用肉、卵などを生産している畜産農家や酪農家ですが、この2つの仕事にはどのような違いがあるのか、仕事内容も含め紹介していきます。
全4回にわたってお送りいたします。今回は酪農家のなりかた、抱える問題、向いている人についてです。
酪農家になるには
農業大学、農学部のある大学や短大で酪農・畜産を学び、酪農農家で実際に乳用牛の世話をしながら酪農農家の仕事を身につけていく流れが主流です。
家業として牧場を継ぐことが多い仕事ですが、近年高齢化や後継不足により廃業する酪農農家も多く、牧場を手放す酪農農家と、新たに酪農農家を始めたい人がうまくマッチングするケースもあります。
また近年企業が経営する牧場が多くなってきており、企業に就職し酪農に従事する働き方もあります。
酪農農家は動物相手の仕事なので一日休みをとることができません。
そんな酪農農家に代わり、搾乳をおこなったり世話をする酪農ヘルパーという仕事も需要が高まっています。
酪農ヘルパーとして知識や経験を積み、離農予定の牧場がうまくマッチングして酪農農家となる、というケースもあります。
また、酪農家になるにあたって必須とされる資格はありませんが、取得しておくと役立つ資格はあります。
例えば家畜人工授精師の資格は、牛の人工授精や受精卵の移植ができます。
生乳を出すために、雌牛に毎年妊娠・出産させなければならない酪農業にとって、獣医師を呼ばずとも繁殖の仕事ができるため経費削減にもなり重宝されます。
この資格は国家資格で、講習会を受講し、修了試験に合格すると取得できます。
そのほかにもトラクターなど農業機器や大型免許を持っていると仕事に役立つでしょう。
酪農家の抱える問題
酪農家の収入源である生乳の価格が近年低下し続けていることは大きな問題となっています。
また畜産農家同様、酪農家も従業員の高齢化と後継者不足が深刻です。
この状況を改善しようと、自治体や関係団体は、酪農家への新規参入者への補助金や無料の研修、土地や施設を一定期間格安で貸すなどの助成制度を用意しているところもあります。
基本的には小規模で家族経営を行う酪農家が多いですが、会社組織として企業が運営している牧場も増えてきています。
酪農農家に向いている人は?
牛は神経質な性質で、時間に大変正確です。
決まった時間に搾乳や餌やりを行わないとストレスが溜まり、それが病気の原因となる場合があります。
そのため時間に正確な人、几帳面な人、忍耐力のある人は酪農を行うのに向いているといえるでしょう。
また力仕事が多いため体力に自信があることも大切な要素です。
畜産農家と酪農家は、どちらも日本の食生活を支える大事な仕事です。
動物相手のため休みはあまりなく、重労働で体力のいる仕事ですが、豊かな自然や多くの動物と触れ合いながら働ける魅力的な仕事でもあります。
しかし残念ながら、日本の畜産農家と酪農家の数は低下の一途をたどっています。
日本の未来を支え、皆に幸せを届けることのできる畜産農家・酪農家を目指してみてはいかがでしょうか。