・ドルフィントレーナーの給料・仕事内容について知りたい人
・水族館に就職したい人
水族館やイルカ関連施設の花形であるイルカショーは、来館者に大人気のイベントです。
そのイルカショーを作り上げている立役者がドルフィントレーナーです。
イルカを調教し、ショーの演出・出演をしてショーを盛り上げる姿はステージの上で輝いており、小さい頃にイルカショーを見てからずっと憧れているという人もいるでしょう。
そんなドルフィントレーナーの給料はどれくらいなのか、どのような仕事内容なのかなど、細かくみていきましょう。
ドルフィントレーナーの給料・仕事内容など
ドルフィントレーナーの給料
給料は、大体月に14〜20万円です。
地域や施設の規模、ボーナスの有無により変わりますが、年収は大体200〜300万円となっています。
全国の平均年収は422万円なので、平均より低い水準であるといえます。
その理由のひとつとして、ドルフィントレーナーに契約社員が多いことが挙げられます。
イルカ関連施設では、正社員になるとイルカショーの現場からは離れてしまう可能性があります。実際には正社員の水族館スタッフの方が給料が高い場合が多いですが、給料の高さよりもイルカと関わり続けていくことを優先し、契約社員でいつづける選択をする人が多いようです。
しかし勤務年数によって給料はアップしていく傾向があるため、辛抱強く勤め続けてみることも大切です。
ドルフィントレーナーの仕事内容
主な仕事には
・イルカの調教
・イルカの世話、健康管理
・イルカショーの企画、演出、出演
・水質管理、清掃
などがあります。
イルカショーではジャンプや輪くぐりなどさまざまな技を披露します。イルカに技を教えるためには、まずイルカとの信頼関係が大切です。心を通わせながら訓練し、共にショーを作り上げていきます。
そして食餌の準備、給餌、水槽の清掃も大切な仕事です。
特に食餌の準備は毎日のことなので大変な作業です。
イルカは1頭につき1日10-15kgほどの魚介類を食べます。飼育されている頭数分の餌を食べやすいようにさばく必要があり、相当な重労働です。
また生き物相手なので、施設がお休みの日でも仕事はあります。休館日には普段できないような大規模な水槽清掃をすることもあり、肉体労働をする場面が多いです。
そのように普段の世話をこまめにすることで、イルカとのコミュニケーションを密に取り信頼関係を築いていきます。
世話をしながら泳ぐ様子や食欲などの様子を観察し、いつもと違う様子はないか健康チェックを行うことも大切な仕事です。
イルカショーでは、時期によって演目を変えたり、さまざまなパフォーマンスを披露して観客を盛り上げます。イルカは飽きてしまったり気分が乗らないと指示通りに動かない場合もあるので、予想外の事態にも臨機応変に対応できるようシュミレーションしておくことが大切です。その日のイルカの気分や体調を考慮しながらその場で判断し指示を出す対応力が求められます。
またイルカとのふれあい体験など、イベントでガイドをするなど、来館者とコミュニケーションを取るような仕事もあります。
わかりやすく解説をしたり、来館者を楽しませる企画をするなど、幅広い専門知識が必要になります。
ドルフィントレーナーになるには
専門学校や大学を経て就職するケースが多いです。
専門学校には海洋動物専門の学校や、ドルフィントレーナーの育成に特化した学科がある学校もあります。水族館での研修やスキューバダイビングの実習など、実践的に学び、即戦力となる人材を育成することに力を入れてる学校が多いです。
一方大学では、水産生物学、水質学、海洋学などを学べる学科があります。
海洋生物に関する深い知識は、就職する上で大きな強みとなり、働き始めてからも役立つでしょう。
もうひとつ気をつけたいのが視力です。
水中でイルカと一緒に泳ぐ場面が多くある仕事ですが、視力が悪くても眼鏡はかけられませんし、コンタクトレンズですと外れてしまう可能性があります。
視力が良くなければいけない、という規定はありませんが、求人の際に視力の条件がある施設もありますのでよく確認しましょう。
実は、ドルフィントレーナーとしての求人が出ることはほぼありません。多くは水族館職員として求人が出て就職し、その後イルカ業務に携わっていく流れが一般的です。
そのため実習や面接時に、イルカ業務に携わりたいという意志を示しておくことが重要ですが、必ずしも希望通りに配属されるとは限らず、しばらく他の部署で勤務する場合もあります。
そして求人に関しても、水族館やイルカ関連施設が新設される場合か、職員に欠員が出た場合にしか求人が出ないため狭き門といえます。
こまめに情報を集め、長期戦になる覚悟も必要です。
ドルフィントレーナーに役立つ資格
必ず必要な資格はありませんが、勤務するにあたって取得しておくと良い資格や、取得しておくと就職に有利な資格はあります。
また資格によっては給料や手当に反映される場合もあるため、取得できそうなものがあればチャレンジしてみましょう。
潜水士
この仕事は潜水して作業をしたり、ショーではイルカと共に泳ぐことが多くあります。仕事で潜水を行う場合には、国家資格である潜水士の資格が必要となります。
潜水士は国家資格ですが、受験資格は定められておらず、筆記試験のみで取得できるため難易度はそれほど高くありません。
スキューバダイビングライセンス
「オープンウォーターダイバーライセンス」は、水深18mまで潜ることのできる資格です。
水槽内での作業が多い仕事のため、この資格はとても役に立ちます。潜水士とセットで取得する人が多いようです。
4日間で取得でき、更新が不要のため一度取得すればそのまま永遠に資格を保持できます。
普通自動車免許
募集要項で必須とされている場合があるため取得しておくべき資格です。
ただでさえ求人の少ない狭き門なので、求人が出たらすぐに応募することが大切です。一般的にも就職時必要とされることが多いので、取得しておくと良いでしょう。
学芸員
学芸員というと就職先は博物館や美術館に多い印象がありますが、水族館も就職先のひとつです。専門知識を活かし、魅力ある展示や演出ができる資格です。
この資格は国家資格で、決められた大学で既定のカリキュラムを履修することが必要となります。難易度は高いですが、取得しておくと就職の時に大きな強みになるでしょう。
ドルフィントレーナーの将来性
これまで日本では、追い込み漁により捕獲したイルカを飼育、調教してきました。
しかし現在では、イルカを追い込み漁で入手することは禁じられています。
そのためこの先どのようにイルカを入手するかが、水族館やイルカ関連施設の大きな課題となっています。
日本では追い込み漁によりイルカを捕獲してきたため、まだ海外と比べ繁殖技術が高くありませんが、人工授精に成功した例も複数あります。
また人工授精によって産まれ、現在ショーで活躍しているイルカも出てきており、今後さらに技術が進んでいくことが期待されています。
ドルフィントレーナー向きの人はどんな人?
どのような人が向いているかというと、
・体力に自信のある人
・人前でパフォーマンスをするのが得意な人
・イルカに寄り添い、コミュニケーションをとる努力のできる人
・忍耐力のある人
・さまざまな場面に臨機応変に対応できる人
・細かなことに気がつく観察力のある人
・チームワークを大切にできる人
などが挙げられ、裏方からショー出演まで幅広い活躍が求められることがわかります。
しかし、ドルフィントレーナーを目指した時点で上記の内容に自信がなくとも、諦める必要はありません。実際には就職してから学ぶことが多くあり、さまざまな知識を得たり経験を積むことでスキルアップしていきますので、前向きに取り組んでいくことが大切です。
ステージで輝く姿が印象的な仕事ですが、裏方の仕事も多く、重労働のわりに給料が平均水準より低いなど、条件が良い仕事とは言えません。
また土日祝日やゴールデンウィークなど、世間がお休みの日に混み合う施設のため、休みが平日のみという場合も多いです。
しかしイルカと心を通わせ、ショーを作り上げる喜びは大きなものです。給料よりも、自分の仕事に誇りを持ち、やりがいを感じながら働ける魅力があります。
またイルカセラピーという療法があるように、イルカとの触れ合いには癒しの効果もあります。
ハードな仕事の中にも喜びや癒しを得られる魅力的な仕事といえるでしょう。