・愛玩動物看護師の国家資格化による給料や仕事内容の変化について知りたい人
・動物の命を救うお仕事に関わりたい人
近年のペットブームによる動物飼育数の増加や獣医療の多様化・高度化により、愛玩動物看護師には今まで以上に知識や技術が求められるようになっています。
獣医療のさらなる進歩には、獣医師と愛玩動物看護師のチーム医療の強化が必要です。そこで愛玩動物看護師の知識や技術に一定の水準を設け、より幅広い業務に携われるよう、2019年6月21日に「愛玩動物看護師法」が可決され、2022年5月1日に施行されました。
これにより動物看護師は今後「愛玩動物看護師」という名称の国家資格となります。
国家資格化されたことで、今後給料や仕事内容にはどのような変化があるのかみていきましょう。
全3回にわたってお送りいたします。今回は愛玩動物看護師の役割についてです。
愛玩動物看護師の役割
愛玩動物とは?
愛玩動物看護師法における愛玩動物とは、「獣医師法に規定する飼育動物のうち、犬・猫・その他政令で定める動物」と定められています。
政令で指定する動物には、愛玩鳥(インコなどオウム科全種、ブンチョウなどカナデチョウ科全種、カナリアなどアトリ科全種)があげられます。
ウサギなどは獣医師法に規定する飼育動物に含まれておらず、愛玩動物には含まれませんが、定義に含まれない動物についても愛玩動物看護師は業務を実施することが可能です。
愛玩動物看護師に求められる役割
愛玩動物看護師は獣医師のように自らの判断で動物を治療することはできません。
しかし獣医師が「診る」のに対し、愛玩動物看護師は「看る」ことで動物の治療に貢献することができます。
診察にあたる医師は動物の様子をこまめに観察できないため、愛玩動物看護師は他の業務にあたりながらも入院動物をよくチェックし、少しの変化でも獣医師と共有する必要があります。
また飼い主とのコミュニケーションは重要な役割です。
獣医師は診察に追われ、飼い主と1対1でゆっくり話す時間がなかったり、飼い主が気後れして聞きたいことを聞けないことがあります。
その場合、愛玩動物看護師が飼い主の不安を聞き出したり、病状をさらに噛み砕いてわかりやすく説明をするのも大事な仕事です。
また飼い主が診察では伝えられなかった情報を、愛玩動物看護師には話せる場合もあり、情報を得ることで治療のヒントとなることもあります。
飼い主と丁寧にコミュニケーションを取り、獣医師と飼い主の架け橋となることは、愛玩動物看護師の大切な役割になっています。
愛玩動物看護師になるには
愛玩動物看護師になるには、愛玩動物看護師国家資格を受験し、合格する必要があります。
受験資格は、愛玩動物看護師法施行日の2022年5月1日以降に入学した者は、
・大学で指定の科目を修了し卒業する
・都道府県が指定した専門学校などの養成所で3年以上指定の科目を修了する。
のいずれかを満たすことが必要です。
既卒者や在学者は、法律施行から5年間は経過措置がとられるため、その間に国家資格の取得をしなければなりません。
動物看護業務に累積5年以上従事している者は、30時間程度の講習会に参加し、予備試験に合格することで国家試験を受験することができます。
在学者は、現在実施されている、動物看護師統一認定試験の受験資格を持っている場合、その合否に関わらず、最大30時間程度の講習会を受講することで予備試験なく国家試験を受験することができます。
愛玩動物看護師は2022年5月に法律が施行されたばかりです。
仕事内容の変化については分かっていますが、給料が上がるのか、またどの程度上がるのかは勤務する動物病院の判断によるため分かっていません。
しかし国家資格となったことにより社会的地位の向上につながり、今後給料や待遇が良くなっていくことが期待されています。
また、愛玩動物看護師はできたばかりの新しい国家資格のため、新たな道を切り開いていくというやりがいも大きいでしょう。
コロナ禍においても、ペット業界は拡大傾向にあり、獣医療のニーズはますます高まっています。
愛玩動物看護師は、将来性があり魅力のある職業だといえるでしょう。